トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.34】田中食堂@稲荷町

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

田中食堂@稲荷町

稲荷町にある100年続く田中食堂が2018年7月27日に閉店してしまった。

かつてはこんな食堂が町のあちらこちらにあったのだけれど、今は珍しい存在だった。

最初に訪問したのは2014年6月。東京メトロ銀座線の稲荷町駅が最寄り駅という場所に引っ越してほどなく訪れている。以前からその存在を雑誌やムックなどで知っていて、ずっと行きたいと思っていた店だ。

定食のラインナップも独特な感じ。しかも安い。今からしてみれば、食べていないメニューがたくさんある。とくにカレーライス、食べたかったなぁ。

切れてしまっているが住居表示が東上野3丁目5-13になっている。

初訪問で気になったのは「ウィンナー定食」。他ではあまり見かけないメニューだ。

うかがったのは13時30分ごろ。先客にはサラリーマンのグループなどがい。

店内に食品サンプルがあって、その横にレジがあり、前払い制になっていた。ウィンナー定食を注文。

何気ない定食だけど、ご飯も味噌汁もおいしかった。とくに付け合わせのマカロニサラダがよかったなぁ。

その後、僕は引っ越しをして最寄り駅が稲荷町駅から日比谷線の入谷駅に変わった。住居の距離はさほど移動していないけれど、導線が変わり、田中食堂あたりには来なくなっていた。

ネットで閉店の知らせを聞いたのはすでにお店を閉めた後だったので行くことはかなわなかった。というわけで、いま、その場所はどうなっているのだろうかと気になり、出かけてみた。その前にかつての田中食堂をもう一度見ていただこう。

こうして改めて見ると、なんの変哲もない普通の定食屋さんのたたずまいだ。

うかがったのは2019年3月29日。さら地になっていた。アスファルトが敷かれていたので駐車場にでもなるのかしら。

隣のビルがそのまま存在しているのがさびしさを感じる。

そういえばこんな記事も書いていた。

イングレスのポータルになっている店へ行ってみる

こちらの記事では、稲荷町駅から田中食堂までの動画が掲載されている。銀座線の稲荷町駅の入り口もリニューアルされて変わってしまった。こうして街の風景も変わっていくんだね。

前回の民華に続き、イングレスのポータルは消滅してしまった。こうして、一度行ったことがあるお店が閉店するのはやはり寂しいけれど、また新しいお店も開店したりする。ただ、新しいお店はたいていチェーン店だったりするので、わかりやすいけれど、面白みには欠ける。そんな2019年の春だった。
 
 

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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
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【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。