トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.23】小幡ビル@台東区上野

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

小幡ビル@台東区上野

前回、台東区に引っ越してきたのは2014年6月だと書いたが、そのビルが小幡ビルだった。
1階には町中華の幸来というお店ともう一軒、シャッターを閉められ、そこには貸店舗の貼紙があった。
看板にはオバタスポーツとある。
かつてそこは大家さんが営んでいたスポーツ用品店だった。

けっこう長いこと営業をしていたようで、地元では有名な店だったようだ。
大家さんはかなり高齢の男性で、話好きな人で、昔のこの界隈のことをいろいろと教えてくれた。

自販機がある隣がビルの入り口になっている。
珍しく、シャッタが―があがっている。
こういうときはたいてい、物件を見に来ている人がいるときだ。

ここの前の通りはかっぱ橋本通りといって、浅草と上野をつなぐ通りだ。
この通りから浅草方向を見ると、スカイツリーが見えた。

7月上旬の週末には下町七夕祭りが行われる。
歩行者天国になり、多くの露店が出る。

小幡ビルの前にも露店が出る。
幸来さんは、唐揚げや焼きそばなどを店の前に露店を出して売っていた。
元オバタスポーツの前にも露店が出て、賑わっていた。
2014年は焼き牡蠣を売る店が出ていた。

ちなみに、入り口にあった自動販売機は大家さん自身が管理しているようで、商品などを入れている姿を何度か見た。
この七夕祭りのあとに売り上げはどうでしたかと聞けば、儲かったとうれしそうに話していた。

なかなかオバタスポーツ跡は借り手がつかなかったのだが、2015年の夏、いきなり工事が始まった。

どんなものができるのだろうか。
大家さんによれば、イタリアンレストランだそうだ。

だんだん店の形が出来上がってくるのを日々見るのは楽しかった。
看板ができて、店名がbonoboだとわかった。

お店が完成し、開店祝いのお花などが飾られた。
入り口にある自動販売機は撤去された。
もちろん、すぐにランチで行ってみた。
若い夫婦がやっているかんじのいい店で、もちろんパスタもおいしかった。
みなさんも、ぜひbonoboへ。

https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13185856/

こうして、お店は閉店したあとにまた別のお店が始まる。

大家さんもこの開店には喜んでいた。
しかし、2016年の11月、体調を壊していた大家さんは亡くなってしまった。

突然のことでビックリしたが、今は奥様が小幡ビルの管理をしていらっしゃる。

僕はといえば、2017年の夏に小幡ビルを出て別の場所へ引っ越した。
とはいえ、近所なのでいまでもちょいちょい小幡ビルまで行ってみる。

毎日同じようで、毎日違うのが町の風景だ。

かっぱ橋本通りを歩けば、店の入れ替わりもけっこうある。
ぶらぶらと散歩するのも、楽しいものだ。

(続く)

BACK  NEXT

【引っ越しのお知らせ】
当サイトにて連載中の「トーキョー・レガシー・ワンダーランド」は、ピースオブケイクの運営するサイト「note」への引っ越しすることになりました。

https://note.mu/maguro1958

全話が見られるのはnoteだけで、当サイトでの掲載はピックアップとして1~5話と直近の5話の掲載を予定しております。
引き続いてのご愛読、よろしくお願いいたします!

この連載について

初回を読む
巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。

【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。