トーキョー・レガシー・ワンダーランド【vol.16】同潤会上野下アパートメント@台東区上野

巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
真のレガシーを求めて、今日も裏路地を歩く。
懐かしくて心惹かれる、うるわしの東京アーカイブズ。

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同潤会上野下アパートメント@台東区上野

2009年8月20日午前8時にJR鶯谷駅にいた。
この記事を書くためだ。

吉原~浅草 落語「付き馬」の舞台を歩く (全文) [散歩] All About

夏の散歩は朝早く始めて昼前には終わるのがいいとかねがね思っていたので、この時もその予定だった。
しかし、浅草まで来たところで興が乗り、浅草からさらに上野方面へ歩いた。

途中で見つけたのがこちらの上野下アパートだった。
住所は入り口のところに「上野下アパート 東上野5丁目四番三号」とある。

当時としても残っているのは珍しい同潤会アパートで、まだ住んでいる人がいらっしゃった。
同潤会アパートとは、関東大震災の後、鉄筋コンクリートのアパートをつくろうということで東京や横浜などにつくられたもだのだ。
大正から昭和のはじめにつくられた。
こちらの上野下アパートは1929年(昭和4年)に建てられたそうだ。

同潤会アパートといえば、すぐに思い浮かぶのが原宿の明治通りから表参道方向の坂の途中にあった青山アパートだろう。
ここも平成になってもしばらくはあったが、今は表参道ヒルズになっている。

僕が写真を撮った2009年頃、同潤会アパートはほとんど残っていなくて、珍しい存在だったようだ。
そのため、関係者以外の立ち入りを禁止するという注意書きがあった。

僕はよほどこのアパートが気になったのだろう、何枚も画像が残っているが、いかんせん、引きの絵がない。
こんなことで使うとわかっていればもっと引きの絵を撮っていたのになぁ。
いちばん引いているのがこれ。

敷地はかなり広い。
4階建ての建物で、いくつかの棟があった。
写真の左側に見えているのはダストシューターだろうか。

東京メトロ銀座線稲荷町駅の近くだ。
下谷神社も近くにある。
この写真を撮った2009年、僕は新宿に住んでいたが、その後ここの近くの北上野に引っ越してきた。
たぶん、そのころはすでに上野下アパートは取り壊され、敷地は白いフェンスで囲まれていた。

で、その場所に建ったのが「パーク・ハウス上野」だ。
こちらの建物になる。

たぶん、最初の写真の上野下の入り口があった場所と同じところに入り口があった。

清洲橋通り方向から見たところ。

通り沿いの一階には理髪店やコーヒー豆を売る店、居酒屋さんなどが入っている。

かつての上野下アパートもこちら側には店舗があった記憶がある。
たしか、理容店もあったような気がする。
稲荷町珈琲があったかどうかはわからないが、建て替わってからだが、何度か豆やコーヒーを買ったりした。
今は北上野から別の場所に引っ越してしまったので、さほど近くはなくなってしまったが、今でもたまにこのあたりを通ることはある。
前を通るたびにここはかつて同潤会アパートだったなと思っていた。
たしか、写真があったはずだと探していたのだが、今回やっと見つけることができた。

もっといろんな角度から撮っておけばよかったと思うのはいつもの通りのことだ。
時間は遡れない。

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巨大都市・東京の発展の裏側で、かつての街並みは急速に失われている。
ノスタルジックで心に残る街並み、建築物、飲食店…。
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【著者】
下関マグロ(しものせき・まぐろ)
フリーライター、町中華探検隊副隊長。本名、増田剛己。
山口県生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社に就職。編集プロダクション、広告代理店を経てフリーになる。
フェチに詳しい人物として、テレビ東京「ゴッドタン」、J-WAVE「PLATOn」などにゲスト出演。
著書『下関マグロのおフェチでいこう』(風塵社)、『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『たった10秒で人と差がつくメモ人間の成功術』『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、『歩考力』(ナショナル出版)、『昭和が終わる頃、僕たちはライターになった』(共著、ポット出版)、『おっさん糖尿になる!』『おっさん傍聴にいく!』(共著、ジュリアン)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(共著、リットーミュージック)など。
本名でオールアバウトの散歩ガイドを担当。テレビ朝日「やじうまテレビ」「グッド!モーニング」、テレビ東京「7スタライブ」「なないろ日和!」、日本テレビ「ヒルナンデス!」、文化放送「浜美枝のいつかあなたと」「川中美幸 人・うた・心」など、各種メディアに散歩の達人として登場する。
本名名義の著書に『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎)、『脳を丸裸にする質問綠』(アスキー)、『おつまみスープ』(共著、自由国民社)、『もしかして大人のADHDかも?と思ったら読む本』(PHP研究所)などがある。
電子書籍『セックスしすぎる女たち 危ないエッチにハマる40人のヤバすぎる性癖』『性衝動をくすぐる12のフェティシズム 愛好家たちのマニアックすぎる性的嗜好』『みるみるアイデアが生まれる「歩考」の極意 すっきりアタマで思考がひらめく40の成功散歩術』など。